2022/05/22

【報道】ネコ・イヌから感染、「出血熱」ご注意 致死率2割超、昨年109人報告

 
概要
ネコやイヌから、人の致死率が2割を超える「出血熱」の一種の「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に感染する人が出始めた。もとの感染経路はマダニが媒介していたが、新たな感染経路は,発症した動物の体液に触れたり、かまれたりしてうつったとみられる。死亡者も出ている。専門家は飼い主、獣医師らに注意を呼びかけている。
(以下 略)  
 
病原体
ブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類される新しいウイルス

 感染経路
1.従来:マダニに人が噛まれて感染
2.新たな経路:感染したネコやイヌなどの動物の体液(ウィルスの含まれる血液,排泄物,涙,唾液) から人に感染
 
記事などからの重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関する主な情報
2011年 中国で初特定
2013年 人への感染が初確認(山口県)
2021年年度 人の感染者数109人で過去最多(従来は西日本を中心,静岡県,千葉県でも確認,感染地域の拡大)
2017-2021年度 感染確認数 ネコ449頭,犬24頭
致死率:ネコ6割以上,イヌ3割以上,人2割以上 

感染予防の注意点
1.体調の悪いネコやイヌに,人は直接さわらない
2.野外で倒れている動物に,人は直接さわらない
3.ペットのネコやイヌが屋外に勝手に出てマダニに噛まれないように,ペットのネコやイヌは完全屋内飼養
4.ペットのネコやイヌにマダニが付着した場合は,動物病院で取り除いてもらう
5.人も,野外でマダニに噛まれないように注意する
6.野外では,マダニが増え拡大しつつある.これは寄主となる野生のシカやイノシシ(発症なし),外来種のアライグマやハクビシン,野生化・半野生化のノネコやノラネコなどの増加や分布拡大が原因.とくに,外来種のアライグマやハクビシンなど,野生化・半野生化のノネコやノラネコ,家ネズミなどは,人間の生活空間にも入り込んでくるため,マダニが庭などにも侵入するため,人は注意が必要
 
参考 
厚生労働省「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000169522.html

国立感染症研究所「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」 
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/sa/sfts.html

国立研究開発法人日本医療研究開発機構「マダニを介して発症するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の発病機構の鍵を発見―ウイルス感染の標的となる細胞を同定―
https://www.amed.go.jp/news/release_20200107.html
 
マダニが媒介する感染症SFTS、熊本での確認は今年初
朝日新聞デジタル 2022年5月4日 9時00分
https://www.asahi.com/articles/ASQ536SW4Q53TLVB002.html 
 
国立研究開発法人森林総合研究所など「マダニ媒介の感染症、全国で拡大中 人の社会にこぼれ出る病原体、「根本治療」の道は」
GLOBE+The Asahi Shinbun 2021.10.04
https://globe.asahi.com/article/14451744
・SFTSが発生している地域や、まだ発生していない地域で、野生動物の動向調査やマダニの採取が続けられている。
・これまでの研究では、和歌山県でSFTSに対する抗体を検査したところ、シカやアライグマ、ウサギ、アナグマ、イノシシからは、30%以上の高い陽性率が確認された。
・多発地域では、ヒトの感染と野生動物の陽性率が連動して上昇する傾向も見られた。またシカの個体群密度とマダニの密度には相関が認められている.

 

 

 

 参考(ダニからの感染症)

和歌山市感染症情報センター

主な症状
重症熱性血小板減少症候群 (SFTS)
ダニに刺されてから6日~2週間程度で、原因不明の発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が中心です。時に頭痛、筋肉痛、神経症状(意識障害、けいれん、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸器症状(咳など)、出血症状(紫斑、下血)など様々な症状を引き起こします。重症化し、死亡することもあります。

日本紅斑熱・つつが虫病
ダニに刺されてから、日本紅斑熱は2~8日後に、つつが虫病は10~14日後に、高熱、発疹、刺し口(ダニに刺された部分は赤く腫れ、中心部がかさぶたになる)が特徴的な症状です。紅斑は高熱とともに四肢や体幹部に拡がっていきます。紅斑は痒くなったり、痛くなったりすることはありません。治療が遅れれば重症化や死亡する場合もあります。

ライム病
ダニに刺されてから、1~3週間後に刺された部分を中心に特徴的な遊走性の紅斑がみられます。また、筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、倦怠感などのインフルエンザ様症状を伴うこともあります。症状が進むと病原体が全身性に拡がり、皮膚症状、神経症状、心疾患、眼症状、関節炎、筋肉炎など多彩な症状が見られます。

マダニ媒介性の回帰熱
ダニに刺されてから、12~16 日程度(平均15 日)に 発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛、関節痛、全身の倦怠感などの風邪のような症状が主で、時に、神経症状(意識障害、けいれん、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸不全、出血症状(歯肉出血、紫斑、下血)が現れます。


いずれの疾患も、症状には個人差があり、ダニに刺されたことに気がついていなかったり、刺し口が見つからなかったりする場合も多くあります。見た目だけでの診断が困難です。治療が遅れれば重症化や死亡する場合もありますので、早めに医療機関に相談しましょう。

受診時には、

  • ○月○日、野山に行った
  • ○月○日、草むらで作業した
  • あの時、ダニに刺されたかもしれない
など日付け、場所、発症前の行動(2週間程度)を伝えましょう。