2023/05/20

論文「Review and synthesis of the global literature on domestic cat impacts on wildlife」など

QOU保全生態学セミナー #4

2023年5月19日
・矢原徹一・鷲谷いづみ『改訂版保全生態学入門』が5月8日に出版されました。
・矢原が理事をつとめる一般社団法人九州オープンユニバーシティ(QOU)では、『保全生態学入門』の改訂ポイントを解説する「QOU保全生態学セミナー」を実施しています。
・5月19日17時から実施する第四回では、『保全生態学入門』改訂版第7章のうち「7-1.生物学的侵入とその影響」の改訂ポイントについて解説します。今回は、外来種問題についてアクティブに研究されている亘悠哉さんがコメンテーターとして参加してくださいます。
・保全生態学に関心がある方はどなたでも参加できますが、とくに保全生態学の研究に従事している大学院生の参加をお待ちしています。

以下の文献1と2はセミナーで紹介.

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文献1

Review and synthesis of the global literature on domestic cat impacts on wildlife

 

J. Animal Ecology

First published: 20 May 2022
 
 

 

2023/05/14

【報道】『残酷な面をもつイエネコ【ナショジオ】 - ナショナル ジオグラフィック』ほか論文

配信

 https://video.yahoo.co.jp/c/3888/a1a62f17be3a3f900207eedcac90fbef47b86a3f

 

https://www.youtube.com/watch?v=NSuoMWxhu38

イエネコを知っている人なら誰でも、彼らの目の中に野生の光が宿っていることは分かるだろう。最近の研究では、人間がネコを飼い始めたのは一万年ほど前からとされている。興味深いのは、家にいる飼い猫の行動は野生のネコ科やご先祖様とあまり変わらないということ。この番組ではイエネコと、ライオンやチーターなど野生のネコ科動物を映像で比較し、イエネコの行動の理由を野生動物の行動から読み解いていく。

 

 

ネコとはどんな生きものなのか、初めて飼ったのは誰?:ナショジオ動物図鑑

ナショナル ジオグラフィック 日本版編集部

配信

 

遠い昔から人間と共に暮らしてきたいまや社会の一員

私たちがペットとして飼うネコにはさまざまな血統があるが、生物学上はすべて同じ種イエネコだ。
 
遠い昔から人間と共に暮らしてきたが、初めてネコを飼ったのは4000年前の古代エジプト人とされる。ネズミを首尾よく捕まえた野生のネコが、人間に重宝されるようになったのかもしれない。 
 
古代エジプト人たちはネコを女神として崇拝した。かわいがっていたネコが死ぬとミイラにし、ミイラのネズミまでお供につけてあの世へ送った。その後、世界中の人々がネコを社会の一員として受け入れていった。 
 
野生の仲間と同様、イエネコも生まれながらの捕食動物だ。獲物にそっと忍び寄り、鋭いツメと歯で襲いかかる。夜間の狩りも得意だ。目の瞳孔が光に合わせて収縮するため、たいていの獲物より物がよく見える。聴覚もとても鋭い。また、動きは素早く身のこなしも軽い。長いしっぽはバランス感覚を保つのに役立っている。 
 
ネコは木やフェンス、ポスト、家具などにツメ跡を残したり、尿でマーキングをしたりして互いに意思の疎通を図る。においを残して、ほかのネコに自分の縄張りを主張するのだ。また、イエネコは、うれしいとのどをゴロゴロ鳴らし、怒るとギャーッと叫ぶなどさまざまな鳴き声を出す。 
 
イエネコは通常は肉食で、腸は生肉の消化に十分な程度の単純なつくりになっている。また、ざらざらした舌は、獲物の骨に付いた最後の肉片までこそげとって食べるのに役立つ。エサは人間の気まぐれでいろいろと変わるが、自分で狩りをして足りない栄養を補うこともある。

 (詳細はHPや動画へ)

 

外へ出たネコはどこへ行く? 大規模調査の結果がついに判明

6カ国900匹超の飼いネコをGPSで追跡、野生動物を襲うことや事故への懸念も

2020.03.17

 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/031700176/

 

「キャット・トラッカー」という大規模な国際プロジェクトの目的はシンプルだった。ペットのネコが、家の外でどこに行っているのかを調べることだ。

 研究者たちは過去にも、自らの足で追跡するか(ご苦労さま!)、ネコの首輪に無線送信機を付けるかして、この難問に挑んできた。しかし、キャット・トラッカーはその規模において際立っていた。6カ国で900匹を超えるネコにGPS装置を1週間装着させ、彼らがどこへ行き、どのくらい広い範囲を動き回っているかを調査したのだ。(参考記事:「「キャット・トラッカー」が始動」

 調査開始から6年が経ち、ついに結果が2020年3月11日付けで学術誌「Animal Conservation」に発表された。そこで明らかになったのは、ほとんどのネコにとっては自宅の近くが一番らしい、ということだ。

「ネコがあまりにも狭い範囲でしか動いていなかったことに驚きました」と話すのは、論文の筆頭著者で米ノースカロライナ自然科学博物館のローランド・ケイズ氏だ。「大半のネコが、全ての時間を自宅の庭から100メートル以内で過ごしていました」

 ほとんどのネコが自然の中に足を延ばしていないとわかったのは良いことだ。それでも今回の調査では、飼いネコが生態系に混乱をもたらし、自分たちの身も危険にさらす可能性があることが判明した。

 米スミソニアン保全生物学研究所のネコ専門家で、フロリダキーズ諸島で絶滅が危惧されている小型哺乳類に野良ネコが及ぼす影響を調査したマイケル・コーブ氏は、今回の調査を「大変な功績です」と称賛した。「これほど多くのイエネコに対して、個体ごとに空間生態学的な調査をした研究は他にないと思います。それどころか、どの家畜化された動物種でも、こんな研究は見当たりません」

基本は「なまけ者」

 米ノースカロライナ州ダーラム市にすむ長毛で青い目をした1歳のネコ、カットニス・エバディーンは、調査に参加したネコの中では典型的だった。彼女は他の多くのネコと同様、ほとんどの時間を家と、家の裏にある林の中で過ごした。とはいえ、両隣にあるアパート群を何度も訪れたり、家の前にある2車線道路を3回渡ったりもしていた。140メートルほど離れた駐車場まで歩いて行ったことも1度あった。首輪に付けられたGPS装置が3分ごとに記録した位置情報から、彼女の行動範囲がおよそ1.6ヘクタールであることがわかった。

 実のところ、カットニスの行動範囲は、ほとんどのネコよりも少し広い。半数以上のネコは、およそ1ヘクタール以内の行動範囲にとどまっていた。

次ページ:860ヘクタールを歩き回る「冒険家」も

(以下は,会員ページへ)

 

'Cat Tracker' study reveals the secret wanderings of 900 house cats

Understanding where outdoor cats go is important for keeping them, and native wildlife, safe.

https://www.nationalgeographic.com/animals/article/cat-tracker-shows-where-pets-go

 

 

GPS Study Shows Outdoor Cats Have Oversized Effect on Neighborhood Wildlife

The cats also cross the road an average of 4.5 times in six days, putting themselves in danger

Correspondent

https://www.smithsonianmag.com/smart-news/gps-study-shows-outdoor-cats-have-oversized-effect-neighborhood-wildlife-180974424/ 


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The small home ranges and large local ecological impacts of pet cats

First published: 11 March 2020
 

Abstract

Domestic cats (Felis catus) are a conservation concern because they kill billions of native prey each year, but without spatial context the ecological importance of pets as predators remains uncertain. We worked with citizen scientists to track 925 pet cats from six countries, finding remarkably small home ranges (3.6 ± 5.6 ha). Only three cats ranged > 1 km2 and we found no relationship between home range size and the presence of larger native predators (i.e. coyotes, Canis latrans). Most (75%) cats used primarily (90%) disturbed habitats. Owners reported that their pets killed an average of 3.5 prey items/month, leading to an estimated ecological impact per cat of 14.2-38.9 prey ha−1 yr−1. This is similar or higher than the per-animal ecological impact of wild carnivores but the effect is amplified by the high density of cats in neighborhoods. As a result, pet cats around the world have an ecological impact greater than native predators but concentrated within ~100 m of their homes.