【報道・論文】ネコは野生動物の大きな「脅威」 手術は不要、注射1本で繁殖を防ぐ米国の不妊法研究
配信 National Geographic
https://news.yahoo.co.jp/articles/55c6a1f46ffe43fb0a03096a223a054e1f157228
ネコにもやさしい安全な遺伝子技術、「状況を一変させる可能性があります」と研究者
(概要)
「ネコ活」や「ネコノミクス」などの造語も広まり、今やすっかりネコの人気は定着している。ネコを飼っている人はもちろん、そうでなくても、テレビやネットで見かけるネコのかわいい姿に日々癒されている人は多いに違いない。だがその一方で、ネコは野生動物にとって大きな脅威だ。世界自然保護連合はネコを「世界の侵略的外来種ワースト100」にリストアップしており、米国では、最大で年間40億羽の鳥と220億匹の小型哺乳類がネコに殺されているという報告がある。日本にこうしたデータはないものの、アマミノクロウサギをはじめとする離島の希少種だけでなく、本土の普通の野生動物にとっても問題であることは環境省の研究で明言されている。
(中略)
ネコによるそんな被害を少しでも減らす対策の一つが、ネコの繁殖力を抑えることだ。そこで、飼いネコや野良ネコの数を管理すべく、安全で新しい遺伝子技術による不妊処置法を米国の研究チームが開発し、2023年6月に学術誌「nature
communications」に発表した。
「高い技能を持つ獣医師を必要とせず、普通の人が誰でもネコに注射を打てるようにする必要がありました」と、研究を率いたシンシナティ動物園の動物研究ディレクターであるウィリアム・スワンソン氏は言う。
(中略)
今回の研究結果は、6匹のネコで試しただけの予備的なものであり、実用化にはさらなる検証が必要だろう。だが、過去7年間このプロジェクトに取り組んできたスワンソン氏は、比較的簡単にできるこの方法は、「望み通り機能させられれば、本当に状況を一変させる可能性があります」と、野生生物の脅威となるネコ対策を強力に推し進める手段になると見立てている。
※この記事はナショナル ジオグラフィックとYahoo!ニュースによる共同連携企画です。
文=CONNIE CHANG/訳=荒井ハンナ
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写真は,ネコに殺された232個体の動物たちの写真.
哺乳類,鳥類,爬虫類の死骸はすべて2019年にネコに襲われて,USA, カリフォルニア州サンラフィエルのワイルドケア動物病院に運び込まれた動物.米国とカナダでは、毎年20億個体以上の動物がイエネコに命を奪われている.
【論文】
Lindsey M. Vansandt et al. 2023. Durable contraception in the female domestic cat using viral-vectored delivery of a feline anti-Müllerian hormone transgene. Nature Communications. https://doi.org/10.1038/s41467-023-38721-0.
https://www.nature.com/articles/s41467-023-38721-0