2023/11/09

【報道】「ネコ対策など見直し必要 自然遺産連絡会議・徳之島部会 3項目でB判定」南海日日新聞2023/11/08

 

【報道】ネコ対策など見直し必要 自然遺産連絡会議・徳之島部会 3項目でB判定

配信 南海日日新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/c44668ce2c504ea2ddacee4dea8412a7d3811981

 

(概要と解説)
世界自然遺産について「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産地域連絡会議」「徳之島部会」が7日、鹿児島県天城町役場で開かれ,環境省、県、徳之島3町、民間団体などから約50人(オンライン含む)が参加し,各地域の保全状況の判定の「モニタリング評価」が示された.今回は「奄美群島世界自然遺産保全・活用検討会徳之島自然利用部会」と併催で,コロナ禍のため,2019年度依頼の4年ぶりの開催であった.
(中略)
「モニタリング評価」は,遺産価値の維持や強化を目的に2019年8月に策定された「世界自然遺産推薦地モニタリング計画」に基づき,2021年度の調査結果をもとに,科学委員会が評価した.評価判定は「遺産価値への悪影響なし」の「S」から「事業計画の大幅な見直しが必要」の「C」までの4段階で判定した。

徳之島の評価
1. 徳之島は,①交通事故の発生,②外来種(ノネコ・ノイヌ含む)による捕殺,③飼い猫の管理―の3項目でB判定。
 
2.徳之島については「不妊去勢手術率が高い一方でマイクロチップ装着率と室内飼養が低い水準」との指摘があった。 
 
3.アマミノクロウサギなど希少野生動物のロードキル(交通事故死)対策として「県道花徳浅間線」「県道松原轟木線」で侵入防止柵(防獣ネット)を設置したことなどを報告した。
 
外来種問題
1.今年5月に島内での生息が確認された外来種「シロアゴガエル」の生息状況について、環境省徳之島管理官事務所の担当者は「島内753地点の調査の結果、40地点で分布を確認」「徳之島町井之川以南から亀徳以北で広く分布」「駆除数は成体4000以上、泡巣(卵塊)3000以上」などと調査と対策の内容を報告した。
 
 2.奄美大島や沖縄県の一部で発生が確認されているソテツの害虫「カイガラムシ」など外来種対策への意見が多く、「周知啓発活動の拡充」「関連機関の情報共有と連携の改善」などを求める声が上がった。

(詳細はURLをご覧ください)

【報道】「世界自然遺産・徳之島部会」奄美新聞(2023/11/7)

世界自然遺産・徳之島部会

奄美新聞・徳之島通信 2023年11月7日

 https://amamishimbun.co.jp/2023/11/07/47062/

 「対策の「B」評価返上へ,普及啓発と連携強化を」

【概要】

2023年度「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島世界自然遺産地域連絡会議」徳之島部会と、奄美群島世界自然遺産保全・活用検討・自然利用部会(県主催)が11月7日、天城町役場で開催された.

県自然保護課や環境省、徳之島3町、自然保護団体など関係機関・団体から約50人が参加(オンライン含む)。自然遺産保全への「徳之島行動計画」の進捗(しんちょく)状況や、世界遺産委員会の要請事項①観光管理②ロードキル(交通事故死)対策③河川再生④森林管理―への対応状況などについて報告、意見交換した。

 

以下に新聞記事からの概略を紹介しコメントを書いています(by Editor).

 1.世界遺産委員会の要請事項対応状況などモニタリング評価で計画見直しなどの要望される「B」判定が多い点について,「普及・啓発不足」、行政機関同士の「情報共有・連携不足」を指摘する意見があった.(評価にはS, A, B, C, 未(保留),評価対象外の段階がある

2.質問・提言では,侵入・定着の確認された特定外来種シロアゴガエルの駆除や、アマミノクロウサギのロードキル対策など住民への意識啓発の在り方で徳之島虹の会の関係者から、「(各町)防災行政無線などを使った定期的な普及啓発が必要」とし、徳之島町が同町花徳に整備中の観光拠点施設に関しても「(専門ガイドなど)人材育成も並行すべき」の提言があった。

3.クロウサギのロードキル対策で県が徳之島町北部の県道(花徳浅間線)にこのほど設置した侵入防止柵(延長500m)に関し、「場所(事故頻発地点)が違っている。地元の意見は全く聞いていない。民間の情報も聞くべき」と同島エコツアーガイド協議会長からは指摘があった。県側は環境省と協議したと説明した。

4.モニタリング計画に基づく21年度評価結果(環境省報告)で,同島はクロウサギのロードキル対策やイヌ・ネコによる捕殺対策、飼い猫管理のマイクロチップ装着・室内飼養などの面で「B」評価に対して、現状打開に向けて環境省や県および3町行政間の「情報の共有、横の連携強化」を求める意見があった。

 

 写真:住民への普及啓発、国県町の情報共有・連携強化が求められた世界自然遺産・徳之島部会(7日、天城町役場で) 


2023/11/07

【報道・論文】ネコは野生動物の大きな「脅威」手術は不要、注射1本で繁殖を防ぐ米国の不妊法研究 2023/11/7(火) National Geographic

【報道・論文】ネコは野生動物の大きな「脅威」 手術は不要、注射1本で繁殖を防ぐ米国の不妊法研究

配信 National Geographic

https://news.yahoo.co.jp/articles/55c6a1f46ffe43fb0a03096a223a054e1f157228

ネコにもやさしい安全な遺伝子技術、「状況を一変させる可能性があります」と研究者

(概要)
 
「ネコ活」や「ネコノミクス」などの造語も広まり、今やすっかりネコの人気は定着している。ネコを飼っている人はもちろん、そうでなくても、テレビやネットで見かけるネコのかわいい姿に日々癒されている人は多いに違いない。だがその一方で、ネコは野生動物にとって大きな脅威だ。世界自然保護連合はネコを「世界の侵略的外来種ワースト100」にリストアップしており、米国では、最大で年間40億羽の鳥と220億匹の小型哺乳類がネコに殺されているという報告がある。日本にこうしたデータはないものの、アマミノクロウサギをはじめとする離島の希少種だけでなく、本土の普通の野生動物にとっても問題であることは環境省の研究で明言されている。
 
(中略)
 
ネコによるそんな被害を少しでも減らす対策の一つが、ネコの繁殖力を抑えることだ。そこで、飼いネコや野良ネコの数を管理すべく、安全で新しい遺伝子技術による不妊処置法を米国の研究チームが開発し、2023年6月に学術誌「nature communications」に発表した。
 
「高い技能を持つ獣医師を必要とせず、普通の人が誰でもネコに注射を打てるようにする必要がありました」と、研究を率いたシンシナティ動物園の動物研究ディレクターであるウィリアム・スワンソン氏は言う。
 
(中略)
 
今回の研究結果は、6匹のネコで試しただけの予備的なものであり、実用化にはさらなる検証が必要だろう。だが、過去7年間このプロジェクトに取り組んできたスワンソン氏は、比較的簡単にできるこの方法は、「望み通り機能させられれば、本当に状況を一変させる可能性があります」と、野生生物の脅威となるネコ対策を強力に推し進める手段になると見立てている。
 
※この記事はナショナル ジオグラフィックとYahoo!ニュースによる共同連携企画です。

文=CONNIE CHANG/訳=荒井ハンナ

 

(詳細はURLを御覧ください) 
 
 

写真は,ネコに殺された232個体の動物たちの写真.

哺乳類,鳥類,爬虫類の死骸はすべて2019年にネコに襲われて,USA, カリフォルニア州サンラフィエルのワイルドケア動物病院に運び込まれた動物.米国とカナダでは、毎年20億個体以上の動物がイエネコに命を奪われている.

 

 

【論文】
Lindsey M. Vansandt et al. 2023. Durable contraception in the female domestic cat using viral-vectored delivery of a feline anti-Müllerian hormone transgene. Nature Communications. https://doi.org/10.1038/s41467-023-38721-0.

https://www.nature.com/articles/s41467-023-38721-0

 

2023/11/01

【報道】ノネコ捕獲、奄美大島全域へ 環境省が管理計画工程改訂 25年度に範囲拡大(南海日日新聞2023年11月1日)

 【報道】ノネコ捕獲、奄美大島全域へ 環境省が管理計画工程改訂 25年度に範囲拡大

南海日日新聞配信
 
(概要)
環境省と鹿児島県、奄美大島5市町村が2018年に策定した野生化した猫(ノネコ)の管理計画について、環境省は31日までに計画の工程を示すロードマップの改訂が行われた。
 
森林域でのノネコ捕獲排除の全島展開が遅れていることを踏まえ、実施年度や優先順位などの一部が変更。ノネコ捕獲の範囲を2025年度に奄美大島全域の森林域に広げ、26~27年度にノネコの個体数推定を実施する,としている.

管理計画は希少な野生生物を襲うノネコを山から排除し、生態系を保全するのが目的。ノネコ捕獲が始まった18年からの総捕獲数は491匹。
 
改定作業では,「計画全体の評価・見直し」について,「関係機関と連携しておおむねロードマップに沿って進められている」と評価されている.
 
その上で,「今後も森林域からの猫の排除が進め、生態系の保全に努める」としている.「ノネコの新たな発生を抑えるためにも、猫の適正飼育をお願いし,地域住民へ理解と協力への呼びかけ」も引き続き行うとしている.
 
(詳細はURLを御覧ください)
 
 
--------------

コメント by Editor

奄美大島の屋外イエネコ対策は,この5年間で着実に成果が出てきていると思います.
 
ブームのかげで起きている問題
今日(こんにち),イエネコはもっとも多数飼育される伴侶動物になってきています.TV,雑誌,さまざまなメディアは,毎日毎日これでもかとブームをあおりにあおっています(火付けは某公共放送”ネコ歩き”?).そのかげで,多くの問題が起きているにもかかわらず・・です.

適正飼養と完全室内飼養は,もはや常識
イエネコの適正飼養管理(不妊去勢,ワクチン,マイクロチップ装着など)や完全室内飼養管理が,もはや常識になってきています.大切なイエネコの幸せのため,在来野生動物保護や生態系保護のため,人やご近所に迷惑をかけないため,交通事故防止のため,人獣共通感染症を防ぐため,さらには,発情による屋外ネコと家の中の飼ネコとの関係や影響の防止,などなど,多くのネコ好きの方々に理解されてきているためと思います.
 
新鮮肉食者で優秀なハンターのイエネコ
在来種や生態系保護の観点では,イエネコは「新鮮肉食に特殊化」した食肉類で,屋外で動く動物を見つけると,ひそかに待ち構えたりして,どんな動物でも捕獲・捕殺する能力をもつ優秀なハンターです.ネズミ類,ウサギ,コウモリ類などの中小型哺乳類,鳥類,爬虫類,両生類,昆虫類などがねらわれます(事例
 
イエネコが拡散させる人獣共通感染症
人獣共通感染症では,ネコ科動物を終宿主とし,細胞内に寄生する原虫トキソプラズマが,近年の研究で人間や野生動物に大きな影響を与えていることがわかってきています(例えば,世界で最も身近な寄生虫,人・ネコ・トキソプラズマの拡大リスク自殺率上昇切れやすい人,など).また,マダニのウィルスによる感染症のSFTSは,イエネコで致死率が高く,人でも致死率が高く,西日本から東日本に拡がってきている極めて危険な感染症です発生状況)屋外イエネコが,人への感染を広めています.
 
野外にイエネコはありえない
今日(こんにち),イエネコが野外で勝手に歩いていたり,野外に勝手に居ること自体が,奇異で,ありえなくなってきています.
 
家畜(ペットなど)は人間に作られ,人間のもとで管理されてきた
 そもそも,家畜(ペットなど)(イエネコも)は,人間が作り出し,人間のもとで管理されてきた動物で,餌と繁殖を人間が管理してきました.人間によって数を増やしたり減らしたり自由にできるのが,家畜(ペットなど)なのです.しかし,家畜(ペットなど)は,自由気ままに自然生態系に存在してはいけない動物です.家畜(ペットなど)は,人間のもとで管理されるべき動物であることを,再度認識すべきです.
 
イエネコ問題を解決するには
イエネコ問題となると,上記のようなイエネコが起こす問題や,イエネコの生物学的特性を理解せずに,反対や抗議の活動,募金の活動,ロビー活動などが一部で起きてきて,捕獲作業,捕獲個体の処分,保護譲渡などの話題が中心になりがちです.しかし,このような活動や観点だけで,イエネコ問題が解決したことは,いまだかつてないはずです.
 
自然生態系からの捕獲排除と適正管理が必要
イエネコ問題の解決には,自然生態系から野外イエネコを排除するしかありません.あらたに野外イエネコを作らないためには,適正飼養管理と完全室内飼養管理しかありません.
 
粛々(しゅくしゅく)と対策を
世界でも実施されている真っ当な対策によって,粛々(しゅくしゅく)と問題解決に取り組むしかないのです.
 
今後の展開
西表島では,対策によってイエネコ問題はすでに解決済みであり,続いて奄美大島での取り組みも成果が見られてきており,そして沖縄島北部での展開があらたに始まりました.いずれも,問題解決に向かうことが期待されています.
 
以上です.