2022/03/16

【報道】奄美大島における外来生物(ノヤギ)の生息状況報告会(鹿児島県自然保護課主催)2022年3月15日開催

外来種としての対策が急がれるノヤギは,20101130日から構造改革特別区域法に基づき,奄美大島(奄美市,大和村,宇検村,瀬戸内町及び龍郷町の区域)において,狩猟鳥獣に追加されました。しかし,捕獲個体は「屠畜法(1953年)」に基づき適正に処理する必要があるため,事前に関係市町村又は鹿児島県名瀬保健所衛生環境室に問い合わせが必要とされています.

 

ノヤギは「屠畜法(1953年)」で獣畜に指定されているため,食肉用には屠殺場での処理,廃棄には指定場所への埋却処理が必要です.なお,獣畜には「山羊,めん羊,牛,馬,豚」が含まれます.他の野生大型獣(イノシシ,シカ,クマ)は「屠畜法」に関係しないので,捕獲個体の利用はほぼ自由ですが,ノヤギの規制は狩猟者のインセンティブを低下させています.

 

野生下の生息数が増えないうちに,外来種根絶事業としての対策が早急に必要ではないでしょうか?

 

参考文献(例)

奄美群島の外来種
東京都の取組 - 父島列島のノヤギ排除
ノヤギ_小笠原自然情報センター
鈴木 , 堀越 和夫, 佐々木 哲朗, 川上 和人.2019.小笠原諸島聟島列島におけるノヤギ排除後の海鳥営巣数の急激な増加.日本鳥学会誌68: 273-287

 

以下が,下記の報道の概要です.

 

奄美新聞2022年3月15

南海日日新聞2022年3月16

南日本新聞2022年3月16

 

概要
2021
年度の海上(沿岸部)調査では前回7年前(2014年)と比べ約1.3倍(165頭)増の642頭のノヤギを確認し,ノヤギは過去より増え,世界自然遺産の核心部や森林部にも分布は広がっている.鹿児島県は「より効率的な捕獲手法などを検討していきたい」とした.


確認数が最も多かったのは請島与路島間の189頭(前回調査127頭),山間古仁屋間173頭(同113頭),加計呂麻島102頭(同93頭)、大棚屋鈍間100頭(同53頭)であった.

奄美大島では2010年度に「ノヤギ特区」が認められ,狩猟登録者がノヤギを捕獲できる.法的にはノヤギも「家畜」のヤギとしか認められず、食用にする場合は生け捕り後に屠畜場で解体する必要がある。銃で駆除する場合は保健所に許可申請をした上で指定の場所に埋めなくてはならず、食用には利用できない。埋却場は島内に1カ所(奄美市名瀬)しかないという.

猟友会の関係者からは「駆除しても個人消費ができないため意欲が湧かない」との意見があったほか、「ノヤギの警戒心が強くなっていてすぐに森林の中へ逃げてしまう。捕獲が難しくなってきている」との報告もあった。